抗うつ薬-イミプラミン塩酸塩
今回はイミプラミンについて書いていこうと思います。
イミプラミン塩酸塩(イミドール・トフラニール) 添付文書より
禁忌:閉塞隅角緑内障、本剤または他の三環系抗うつ薬の過敏症、心筋梗塞の回復初期
尿閉(前立腺疾患等)、MAO阻害剤投与中または投与中止後2週間以内、
QT延長症候群
2. 遺尿症
用法・用量:1. 初期用量1日25~75mg、1日200mgまで漸増し分割投与。まれに300mg
まで増量。
2. 幼児:1日25mgを分1、学童:1日25~50mgを分1~2。
インタビューフォームより
作用発現時間:1~2週間
最高血中濃度到達時間:2~6時間
分布
血液脳関門通過性:通過する
血液胎盤関門通過性:通過する➨投与しないことが望ましいとの記載あり
乳汁への移行性:移行する➨授乳を避けることと記載あり。←こう書いてあるのは添付文書だけで「産婦人科診療ガイドライン―産科編 2020」ではそんな記載はなく)抗うつ薬:三環系抗うつ薬と SSRI の RID は一般に 10% 以下であり児への大きな悪影響は見込まれない.使用に対して慎重に検討との記載はあり。
使っちゃいけませんとは書いてないようです。
肝薬物代謝酵素CYP2D6が関与する。またCYP1A2、CYP3A4、CYP2C19も関与していると考えられる。
併用禁忌
MAO阻害剤➨セレギリン塩酸塩(エフピー)、ラサギリンメシル酸塩(アジレクト)
腹膜透析:ほとんど除去されない
血液灌流:ほとんど除去されない
インタビューフォームより
一包化・粉砕について禁止の記載なし。
今回の参考文献は添付文書とインタビューフォームです。
抗うつ薬-クロミプラミン塩酸塩
今回は抗うつ薬を1つずつ見ていきたいと思います。
まずは三環系抗うつ薬からです。
剤形:錠剤と注射剤あり。➨経口摂取できない患者にも投与可能。
禁忌:閉塞隅角緑内障、心筋梗塞の回復初期、本剤または他の三環系抗うつ薬の過敏症
2. 遺尿症
3. ナルコレプシーに伴う情動脱力発作
用法・用量:1.1日50~100mgを分1~3。1日最高投与量225mg。
2. 6歳未満の幼児には1日10~25mgを・6歳以上20~50mgを分1~2。
3.1日10~75mgを分1~3。
インタビューフォームより
作用発現時間:1~2週間程度
最高血中濃度到達時間:3~5時間
分布
血液脳関門通過性:通過する。
血液胎盤関門通過性:通過する。➨添付文書上では妊婦には有益性投与。
乳汁への移行性:母乳中に移行する。➨添付文書上では授乳を避けることの記載あり。
←こう書いてあるのは添付文書だけで「産婦人科診療ガイドライン―産科編 2020」ではそんな記載はなく)抗うつ薬:三環系抗うつ薬と SSRI の RID は一般に 10% 以下であり児への大きな悪影響は見込まれない.使用に対して慎重に検討との記載はあり。
使っちゃいけませんとは書いてないようです。
髄液への移行性:髄液に移行する。
肝薬物代謝酵素CYP2D6が関与する。他、CYP1A2、CYP3A4、CYP2C19も関与していると考えられる。
併用禁忌
MAO阻害剤➨セレギリン塩酸塩(エフピー)、ラサギリンメシル酸塩(アジレクト)
インタビューフォームより一包化・粉砕について禁止の記載なし。
治療薬の臨床薬理データブックと添付文書、インタビューフォームを参考に書いております。
今日は以上とします。
抗うつ薬-3
そもそもセロトニン・ノルアドレナリンって脳内でどんな役割があるの?
セロトニンの起始部は縫線核であり、投射部位は大脳皮質、視床、視床下部、扁桃体、線条体。セロトニン関連の生理機能は、気分・認知・衝動・食欲・不安・性欲・自律神経。
ノルアドレナリンの起始部は大脳皮質・視床・視床下部・偏桃体。ノルアドレナリン関連の生理機能は、意欲・気力・活動・睡眠・不安・自律神経。
上記は毎度出てくる「精神科の薬がわかる本」とヒルガードの心理学、カッツング薬理学、ガイトン生理学を読んで書いてます。
上記の内容を利用して医師は三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬、SSRI、SNRI、NaSSAを使い分けているのではと考えながら日々仕事をしていきたいと思いました。
抗うつ薬-2
前回の表ではどの薬もセロトニン・ノルアドレナリンともに再取り込み阻害作用が強い事がわかりました。(ミルタザピンは作動性なので阻害作用はなさそうです。)
では、三環系抗うつ薬・四環系抗うつ薬と S S R I・SNRIとでは何が異なるでしょう?
表を見たまんまなのですが、三環系抗うつ薬と四環系抗うつ薬は選択性がなく、鎮静と抗コリン作用が強いのですね。→ってことは副作用につながりやすいってこと?
「精神科の薬がわかる本」で調べてみました。
鎮静効果が強いってことは日中の眠気やふらつき、だるさ、抗コリン作用は口の渇きや便秘、排尿困難、かすみ目、複視等の副作用が出やすいそうです。アドレナリン関連の副作用は眠気、めまい、ふらつき、低血圧(立ちくらみ)、頻脈などがあるそうです。
S S R I・ S N R I・NaSSAにも副作用はあります。
S S R Iの場合
セロトニン関連の副作用
吐き気、食欲不振、便秘、下痢、頭痛
アドレナリン関連の副作用
眠気、めまい、ふらつき
ムスカリン関連の副作用
口の渇き、便秘、下痢
があります。
S N R Iの場合
セロトニン関連の副作用
吐き気、食欲不振、口の渇き、便秘、下痢、頭痛
アドレナリン関連の副作用
動悸、振戦、めまい、ふらつき
があります。
NaSSAで特徴的な副作用は眠気、食欲増進です。
この副作用を利用してうつの不眠や食欲不振に対して使われることもよく見かけます。
セロトニンって90%以上は腸管に存在して、数%が脳に存在してるらしいんです。
なので、急にセロトニンの量が増えることで、腸管内のセロトニン量は一時的に過剰になると考えられます。消化管内で増加したセロトニンにより消化管運動が起こり、この反応が定常状態になるのに2週間ほどかかるためと記載がありました。
なので、抗うつ剤、特にSSRI、SNRIが処方された場合は、2週間吐き気を我慢して飲むか、辛い場合は吐き気止め(メトクロプラミド、ドンペリドン)などを処方してもらいましょう。
今日はここまでとします。
また、よろしくお願い申し上げます。
抗うつ薬-1
前回は三環系抗うつ薬と四環系抗うつ薬の薬理作用について書いていきました。
今回はSSRI・SNRI・NaSSAについて書いていこうと思います。
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)・SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)・NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)は実は薬理作用が分類名だっだのですね。
詳しく書くのは教科書にお任せして今回はここまでとしておきます。
個々の薬物での比較はどうなっているのか調べてみようと思います。
アミノポンプの阻害 | |||||||||||||||
分類 | 薬物名 | 鎮静作用 | 抗コリン作用 | セロトニン | ノルアドレナリン | ドパミン | |||||||||
三環系抗うつ薬 | イミプラミン | 2+ | 2+ | 3+ | 2+ | 0 | |||||||||
アミトリプチリン | 3+ | 3+ | 3+ | 2+ | 0 | ||||||||||
ノルトリプチリン | 2+ | 2+ | 3+ | 2+ | 0 | ||||||||||
クロミプラミン | 3+ | 2+ | 3+ | 3+ | 0 | ||||||||||
アモキサピン | 2+ | 2+ | + | 2+ | + | ||||||||||
四環系抗うつ薬 | マプロチリン | 2+ | 2+ | 0 | 3+ | 0 | |||||||||
SSRI | パロキセチン | + | 0 | 3+ | 0 | 0 | |||||||||
フルボキサミン | 0 | 0 | 3+ | 0 | 0 | ||||||||||
セルトラリン | + | 0 | 3+ | 0 | 0 | ||||||||||
エスシタロプラム | 0 | 0 | 3+ | 0 | 0 | ||||||||||
SNRI | デュロキセチン | 0 | 0 | 3+ | 2+ | 0 | |||||||||
ベンラファキシン | 0 | 0 | 3+ | 2+ | 0,+ | ||||||||||
NaSSA | ミルタザピン | 3+ | 0 | 0 | 0 | 0 | |||||||||
抗うつ薬間の薬理学的差異 |
ちょっと見づらいですが、このようになっているそうです。この表はカッツング薬理学原著10版から引用しております。
今日はここまでとします。
次回からはこの表が意味するところを勉強していきたいと思います。
抗うつ薬 導入編
いろんな種類の薬があるのがわかりました。
今回はどういう薬理作用なのか調べていこうと思います。
そもそもうつってどんな状態なの?
って事で、最初にうつの症状、脳内の変化について調べてみました。
「精神科の薬がわかる本」によると
身体症状として
食欲の低下、味覚異常、便秘、性欲の低下、勃起不全、月経異常、不感症、易疲労感、脱力感、無力感、疼痛、心悸亢進などがみられるそうです。
精神症状として
抑うつ気分、集中困難、判断力・決断力の低下、絶望感・劣等感、活動量の低下、感情表出の減少、精気の欠如、入眠障害、熟眠困難、早期覚醒、不安感、焦燥感
があるそうです。
この本には、医療の対象となる「うつ」は憂うつな気分、興味や意欲の喪失などの症状が基盤にあり、さらに生活に何らかの支障が生じている場合、いくつかの関連した症状がみられ、それらが途切れることなく1日中持続して、2週間以上経っても改善がみられないケースと記載があります。
私は診断をしないのでへぇーという感じで参考にしています。
上記の本およびカプラン臨床精神医学テキスト 日本語版第3版では
主にセロトニン・ノルアドレナリンの両神経伝達物質が減少することで「うつ」の症状が起きると記載されています。なぜ脳神経細胞内でこの2つの神経伝達物質の量が減少するかという、根本的な原因は解明されていないそうです。
しかしセロトニンとノルアドレナリンを増やすことで「うつ」を改善させることは確かめられています。➨「抗うつ薬」による薬物療法は根本療法ではなく対症療法であると記載があります。
なるほど。薬を使いつつ、また周りの環境等の手助け+自分の力で「うつ」は治していかなければいけないということですね。でも、焦ったり、無理をするのは禁物ですね。
さて、脳内のセロトニンとノルアドレナリンを増やす薬が抗うつ薬とわかりました。
前回の薬はどのように作用するのでしょう。
三環系抗うつ薬
- イミプラミン塩酸塩(トフラニール)➨ノルアドレナリン・セロトニン再取り込み阻害
- アミトリプチリン塩酸塩(トリプタノール)➨ノルアドレナリン・セロトニン再取り込み阻害
- ノルトリプチリン塩酸塩(ノリトレン)➨ノルアドレナリン・セロトニン再取り込み阻害
- トリミプラミンマレイン酸塩(スルモンチール)➨ノルアドレナリン・セロトニン再取り込み阻害
- クロミプラミン塩酸塩(アナフラニール)➨セロトニン再取り込み阻害が強い
- ドスレピン塩酸塩(プロチアデン)➨セロトニン再取り込み阻害が強い
- ロフェプラミン塩酸塩(アンプリット)➨セロトニン再取り込み阻害が強い
- アモキサピン(アモキサン)➨ノルアドレナリン再取り込み阻害が強い
四環系抗うつ薬
- マプロチリン塩酸塩(ルジオミール)➨ノルアドレナリン再取り込み阻害が強い
- ミアンセリン塩酸塩(テトラミド)➨シナプス前α2アドレナリン受容体阻害
- セチプチリンマレイン酸塩(テシプール)➨シナプス前α2アドレナリン受容体阻害
今回はここまでとします。
またよろしくお願い申し上げます。
抗うつ薬
精神科門前の調剤薬局って事でまずは抗うつ薬を勉強してみました。
約半年触ってきた薬なので少しずつは覚えてきたように感じますが、詳しいことはすっかり忘れてしまってます。なので、基礎的なことから始めようと思います。
早速ですが、
抗うつ剤の分類
三環系抗うつ薬
S S R I
S N R I
N a S S A
があるそうです。
日本で使われてる薬は?
三環系抗うつ薬
ノルトリプチリン塩酸塩錠(ノリトレン)
アミトリプチリン塩酸塩錠(トリプタノール)
ドスレピン塩酸塩(プロチアデン)
ロフェプラミン塩酸塩(アンプリット)
マプロチリン塩酸塩(ルジオミール)
S S R I
エスシタロプラムシュウ酸塩錠(レクサプロ)
S N R I
デュロキセチン塩酸塩(サインバルタ)
ベンラファキシン塩酸塩(イフェクサー)
N a S S A
ミルタザピン(リフレックス・レメロン)
その他
ボルチオキセチン臭化水素酸塩(トリンテリックス)
があるようです。
まだあるって場合は私に教えてください。
よろしくお願い致します。
次回は薬理作用について書いていこうと思います。